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2025.01.20

3Dマンモグラフィー(デジタルトモシンセシス)について

こんにちは。
今日は3Dマンモグラフィーについてお話ししたいと思います。

日本でマンモグラフィーの検診が始まって20年経過しましたが欧米と比較して未だに乳がん死亡率が減少していないことが現状です。
欧米と比較して乳がん検診受診率が低いことが一番の原因です。
日本の乳がん検診受診率は約50%以下で自治体によっては30%台のところもあります。
一方アメリカ、イギリス、スウェーデンなどは70~80%とかなり高いです。
それ以外にも日本人にはいわゆる高濃度乳腺が多く、癌発見率が低いことも一因です。
マンモグラフィー検診の精度をより上げるため3Dマンモグラフィー(デジタルトモシンセシス)が開発され、2024年4月から保険適応となりました。
現在一般的に使われているのは2Dマンモグラフィーです。
大学病院や総合病院では積極的にこの3Dマンモグラフィーを導入してきていますし、クリニックレベルでも導入し始めたところが少しずつ増えていると感じています。
では3Dマンモグラフィー(トモシンセシス)のメリットとデメリットはなんでしょうか。

*メリット*
①がん検出率の向上:通常のマンモグラフィーでは見つけられなかった小さな病変や乳腺の重なりで見えにくい部分も確認することができる。
②偽陽性の減少:乳腺の重なりを排除することで見えやすくなり、良悪性の鑑別がつけやすくなることで不必要な検査を減らせる

*デメリット*
①撮影時間が長くなる。(約7〜15秒):たくさんのスライスが必要なため
②被曝量が増える
③たくさんの容量をカバーできるハードディスクが必要
④機器は高額である→検査費用も高くなる
⑤検査読影に時間がかかる

より高精度な検診や、精密検査を受けた方がいいと感じますよね。
③、④、⑤は医療施設側の問題なのでこちらで解決するしかありませんが、実際に3Dマンモグラフィーが必要な患者さんがどれくらいいらっしゃるのかというところが重要かと思います。一般的には2Dマンモグラフィーで十分な方が多いのです。
現状ではたくさんの患者さんを受け入れるために時間的なロスやコストの問題などを鑑みて精度の高い2Dマンモグラフィーと超音波検査を併用することで対応していこうと思っています。患者さんのニーズを観察しながら導入も検討していきたいと思います。